天地人とは?
主人公は上杉家の家臣として上杉景勝を生涯支え続け、米沢市街地の礎を築いた直江兼続です。俳優の妻夫木聡さんが主役を演じました。
兼続は上杉謙信を師と仰ぎ、「利」を求める戦国時代において民、義、故郷への愛を貫きました。兜に掲げた「愛」の文字が兼続の思いを物語っています。
大河ドラマ「天地人」は、この兼続の生き様を通して、現代人に失われつつある「日本人の義と愛」を描きました。
原作は火坂雅志氏(小説「天地人」NHK出版)、脚本は小松江里子氏。
天地人の由来
輝虎(謙信)公曰く。天の時、地の利に叶い、人の和とも整いたる大将というは、和漢両朝上古にだも聞こえず。いわんや、末代なお有るべしとも覚えず。もっとも、この三事整うにおいては、弓矢も起こるべからず、敵対する者もなし
要約すると、(北越軍談 謙信公語類)
「謙信公曰く、天の巡り合わせが良く、地勢の有利さに恵まれ、家臣・領民がよくまとまっている、この3つの条件を満たす大将を、日本の歴史、中国の歴史、神話の時代にさかのぼっても見たことがない。もっともこんな大将がいたら、戦は起こらないし、敵対する人物もいないだろう」
これは、孟子の教え「天の時 地の利 人の和」を上杉謙信が引用したと考えられます。戦に勝つには、すなわち物事を成功させるにはこの3つの条件が必要だということです。
もしかしたら、直江兼続もこの言葉を心の片隅におき、執政に当たったのかもしれません。
大河ドラマ「天地人」キャスティング
容姿端麗で、「愛」という字を前立てにあしらった兜姿はつとに有名。その義臣ぶりは、戦国の世でもひときわ目立つ存在でした。位の低い出自であったにもかかわらず自分を認めてくれた景勝には終生、恩を感じ、位の高低、富の有無で人間の価値を決めるような見方には強く反発します。
主君・景勝とともに謙信の薫陶を受け、「義」の精神、民を愛し、民と生きる心を受け継いだ。知勇兼備の名将。
兼続の主君。越後国上田長尾氏当主・長尾政景の次男として生まれ、叔父である上杉謙信の養子となり、上杉家を継ぎました。
兼続とは幼い頃から常に二人で行動してきたため、その絆は単なる主従関係をこえていた。また才走り、時として行き過ぎてしまうことのある兼続を押さえる役割も果たしました
兼続の妻。与板城主の直江景綱の娘であり、兼続の従姉。男子のいない直江家の跡取りのため、親の意向で一度は養子を取り結婚しますが、謙信の死後に起こった跡目相続「御館の乱」で夫を亡くします。その後、景勝の意向で直江家に兼続が婿入りしました。
越後の厳しい気候が育んだような、堂々とした性格。男勝りでしっかり者だが、その気の強さが時に兼続を振り回してしまうことも。機転が利き、妻でありながらブレーンのような立場で兼続を支えます。
「越後の龍」と称される、戦国時代屈指の戦術家。軍事面では圧倒的なカリスマ性を誇っていたが、一方、和歌に通じるなど、繊細でナイーブな側面も併せ持っていました。
越後の守護代・長尾為景の末子として生まれます。本来は家督を継ぐべき立場になかったが、病弱な兄に代わって跡取りに。戦国時代には珍しく「利」ではなく「義」を行動の指針としていた。その姿勢は、一切の私欲を断つ徹底ぶりだったといわれています。家臣たちが利益にもならない戦いに文句一つ言わず従ったのは、自分たちが義を行っているという強い信念を持っていたからだといわれています。
真田幸村の妹で、忍び。自由に国境を行き来し、遠い異国の事情にも通じています。はじめ信長に仕えているが、世の形成を読んだ上で誰に付くべきかを決めるので、初音の行く場所には必ず天下がついてきます。
天真爛漫で新しいものや珍しいものが好き、無邪気で可愛らしい女性ですが、興味のなくなったものはあっさり切り捨てるという残酷な一面も。兼続のことを興味本位で接触したものの、いつしかその真っ直ぐさに惹かれていきます。
兼続の父。坂戸城主・長尾政景の家臣。
兼続の母であり、与板城主・直江景綱の妹。
兼続の弟で惣右衛門の次男。後の大国実頼。
上杉景勝の家臣。兼続の小姓仲間でもあり幼い頃から生活をともにしている親友。年下の兼続をからかったりしていましたが、成長するにつれその能力に一目置くようになります。
北条氏康の七男として生まれますが、幼い頃から北条家の「人質」として他家を転々とさせられます。天性の美貌と聡明さに恵まれています。その後謙信の養子となるが景勝との間に家督争い「御館の乱」が勃発。この戦いによって無念の死を遂げます。
景勝の妹。無邪気で天真爛漫な性格ですが、一途なところは寡黙な兄・景勝とも共通する部分です。同年代の兼続とは、幼馴染のような関係。
北条家から「人質」として送られてきた景虎に思いを寄せ、その一途な優しさと温かさで、閉ざされていた景虎の心を開き夫婦となります。
「御館の乱」では、愛する夫と尊敬する兄とが敵同士になってしまうという、非常に苦しい立場に置かれます。
景勝の正室。武田信玄の六女。上杉氏と同盟を結んで信長に対抗するため、両家の同盟の証として景勝に嫁ぎました。
景勝の母であり、謙信の実姉。夫・長尾政景の不慮の死により仏門に入り仙桃院と名乗ります。